陰謀のセオリー
Conspiracy Theory

監督:Richard Donner
出演:Mel Gibson 、Julia Roberts、Patrick Stewart

 ワーナーのロゴがニューヨークのバスの車体広告になるオープニングは良いね。ビッグバンド調の音楽。車の窓に映るネオンを形取ったクレジット。
 物語はまるでヒッチコックが『失われた時を求めて』を撮ったみたいな話でこれまたけっこう。ニューヨークのタクシー運転手が、アパートでランニングエクササイズをしている美女を双眼鏡でのぞきこんだり、最後は紅葉の美しい森林地域の空撮だったり、ヒッチコックをめざした気持ちはわかる。

 しかし、すべてが気泡に帰したのはメル・ギブソンだ。あいつに演技をさせちゃあ、いかん。そもそもめちゃめちゃ難しい役柄だ。ジュリア・ロバーツは(ジョディ・フォスター並に)おでこの青筋が気にはなるけど、カーディガンや仕立てのいいコートでヒッチコック・ヒロインにかなり近づいているのに……。

 もひとつ大きな問題なのは、リチャード・ドナーの、いかにもステーキの食べ過ぎみたいなまるで軽やかさのない展開(演出)。丁寧に描いていられたのは本人もプロデューサーだからだろうが、ヒッチコックがこれを1時間40分くらいでみせてくれれば楽しかったのにねえ。まあ、ヒッチでもこの主役は悩んだろうけど。「ライ麦畑でつかまえて」をみるとつい買ってしまうという主人公のクセ(?)には笑った。
 二人の出演料を払いすぎて、脇役がぜんぜん弱いのもキツイ。それでも見ていられるのは、やっぱりきちんと撮影してたりするハリウッド映画の技術的底力のおかげだろうかね。

 題名は忘れたけど、ストーリーにも関係のある有名な曲(i love you baby.....って、なんだっけ?)をエンディングで少し流してからローリン・ヒルかなんかのラップ調アレンジにすりかえるのも最悪。こんなにひどいカヴァー曲も珍しい。  


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