日本の映画ファンの皆さんへ

 1960年代のはじめごろ、まだ俳優としての人生が始まる前、私は兵役に就いていました。厳しい兵役の最中に怪我をした友人がいたため、彼を見舞うためにある病院を訪れました。病院はローマ近郊の小さな町ティヴォリにありました。

 そこで出会ったのが、ドン・ネロ・ラソ司祭でした。彼は、第二次大戦終了時から、親のいない子供や貧しい家庭の子たちを集め、食事はもちろん、将来職に就けるように教育の機会を与えたりしてきていました。彼の献身的で自愛に満ちた姿に私はたちまち魅了されました。彼との出会いは、わたしにとって、どこかミステリアスなもので、忘れられないものでした。ひとりの無名の兵士と有名な司祭の出会いでしたが、ふたりの間にはなぜか、尊敬と感謝の気持がお互いに生まれたのです。  その時、わたしはほんのわずかなお金しか持っていませんでした。しかし、わたしは、司祭に約束したのです。いつか必ずドン・ボスコ村孤児院のために力になる、どんな職業に就こうとも、いつか必ずラソ司祭のために戻ってくる、と。

 幸運なことに、わたしは数年後には映画俳優として働く機会を得ました。映画を通じて知り合った大勢の人々の助けもあり、わたしはラソ司祭との約束を果たすことが出来ました。ヴァネッサ・レッドグレーヴ、アンソニー・クイン、コリンヌ・クレリー、ソフィア・ローレン、ショーン・コネリー、グレゴリ―・ペックら、素晴らしい人々の協力でチャリティCDを作ることも出来ました。  それでも、政府の援助を得ていない私的な機関であるドン・ボスコ村の運営には資金はまだまだ足りません。

 ティヴォリの病院でのラソ司祭との出会いから40年、また残念ながら司祭が世を去ってから20年になりますが、この度、日本の映画ファンの皆さんがドン・ボスコ村の貧しい少年たちのために協力していただけるということを聞きとても喜んでいます。私たち皆が愛する映画を通じて、お互いに知り合った人々が、人種や国籍や宗教の違いを超えて助け合うことは本当に素晴らしいことだと思います。

「東京ジャンゴ基金 FONDAZIONE DJANGO DI TOKYO AUTORIZZATA DA FRANCO NERO」へのご協力をお願いいたします。
ありがとう。チャオ。

フランコ・ネロ

2001年6月 ローマにて

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